Team

Profile

白石 由己
Partner
慶應義塾大学経済学部卒業後、富士通に入社。同大学院経営管理研究科(MBA)修了後、バイオテックとハードテック分野に特化したベンチャーキャピタルに参画し、執行役員に就任。その後、同VC投資先企業の副社長に転じ、オーストラリアの上場企業への事業売却を実行。製造業やBtoC分野の企業にて社外取締役を歴任した後、2010年にエドテックのCLEARNOTE(旧アルクテラス)を共同創業。COO&CFOとしてシリーズDラウンドまでの資金調達を主導し、2021年に大手文具企業への売却を実現。2022年よりDNX Capitalに参画。ベンチャーキャピタリストとしての活動に加え、高校・大学にてアントレプレナーシップ教育の講師も務める。同志社大学非常勤講師、東京科学大学非常勤講師。

Interview

  • 創業経験を持つキャピタリストとして 起業家の内なる“マグマ”を世界に放つ
  • 「ディープサイエンス」という 新領域を切り開く DNXはB2Bソフトウェア、AI領域のスタートアップに投資するベンチャーキャピタルですが、AIを活用したディープテック(Deep Tech)にも投資領域を広げつつあります。代表的な投資先はROMS、iSiP、TresAlchemixです。私はバイオテックとハードテックに特化したベンチャーキャピタルでの投資経験や、創薬ベンチャーの副社長としての経営経験があったため、この専門領域を特に追いかけています。 ディープテックという言葉が業界では浸透していますが、ソフトウェアの文脈でサイエンスを捉え直すという観点から、私はディープサイエンス(Deep Science)という言葉で投資領域を定義しています。例えば、AIによる創薬(AI-native Drug Discovery)です。従来の薬の開発プロセスは、標的タンパク質に対する膨大な化合物ライブラリーのスクリーニング手法と専門家の勘や経験に大きく依存し、候補薬の探索に時間とコストがかかっていました。AIソフトウェアは、この創薬プロセスを劇的に改善する可能性を秘めています。より早く、より安く、より良い薬の種が生み出せれば、投資的なリターンはもちろん、難病に苦しむ患者さんに画期的な新薬を届けられる社会的なインパクトも大きい分野です。 iSiP、Tres Alchemixへの投資を通じ、DNXとしてDeep Scienceという投資領域の新しい扉を開くことができたと感じています。AI創薬にとどまらず、AIモデルが生み出す成果物によって新たに解決できる社会的な課題に、今後も私は目を向けていきます。
  • 近しい応援と厳しい助言 当事者の視点で起業家を支える スタートアップの経営を、私は車の運転によく例えます。運転席に座ったドライバーである起業家は、スタートアップという車を運転して、自身が描く大きなパーパスに向かって、道なき道のりを長く走り続けます。その助手席に乗るのが、ベンチャーキャピタリストです。リスクマネー(資金)を燃料として適切なタイミングで車に補給し、起業家が道に悩んでいる時には助手席から助言もします。起業家の成功が、私たちの成功になります。 私自身、創業者としてのスタートアップ経営経験があるので、その道のりの大変さは身をもって知っています。いまだに従業員に給与を支払えなくなる、という悪夢を見ます。そうした過去の苦い経験も活かしながら、ドライバーの成長を見守り、経営のガイダンスを真摯に行います。資金の提供だけでなく、ときにはCxO採用の面接に同席したり、展示会のブースに立って営業したりと、幅広く支援します。 一方で、経営者に何かしらの甘え、判断の悪さが見えた時などは、厳しい言葉をかける場面もあります。自分自身が当事者だったとき、「こういうことを伝えて欲しかった」と思う助言を、今の投資先に伝えるように意識しています。助手席から応援しながらも、危ういときはブレーキを踏み、解決の方向性を起業家視点で伝える。それが自分の強みだと思っています。
  • ディープサイエンスに挑む 内なる“マグマ”を秘めた起業家と共に 私が投資したいのは、内なる“マグマ”を持っている起業家です。 私が考える“マグマ”とは、世の中に対する怒り、特定の産業への強烈な課題意識、「何としてでも変えたい」という、沸々と燃え上がるエネルギーのことです。過去に、大きく道を踏み外したり、遠回りをした経験を持っている起業家に、そのエネルギーを感じることが多いです。スタートアップの道は困難の連続です。マグマのような持続的な原動力がなければ、道半ばでドライバーの心が折れてしまいます。 社会課題の解決手段を、持続可能なビジネスモデルに昇華させ、自らスタートアップという手段で挑みたい。そんな“マグマ”を秘めた起業家の皆さんと、これからも共に歩んでいきたいです。